女性が1番気にかけている「鉄分」、不足すると貧血になる等の話を耳にします。
ですが、鉄分は女性に限らず、成長期の子どもにも重要な栄養素なのです。
目次
鉄分の役割は?
鉄と言う成分は、何に属しているかお分かりになりますか?
鉄分はミネラルの1つで、体内に3~4g存在し、主として赤血球を作るのに必要な栄養素です。
主に肉や魚、野菜に含まれています。
細菌や植物、動物等あらゆる生物(乳酸菌は除く)に必要であると考えられているのです。
鉄は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
簡単に「ヘム鉄」「非ヘム鉄」についてお話しておきましょう。
〇ヘム鉄
肉や魚に含まれるものです。
食物中から摂取する量は低いですが、「非ヘム鉄」の3~4倍の吸収率があるので圧倒的に吸収率は良いのです。
〇非ヘム鉄
ひじきやほうれん草、プルーン等に含まれるものです。
食物から摂取する鉄の約85%は非ヘム鉄で占められています。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い、お分かりなりましたか?
吸収率の高さの違いですね。
もし、鉄分不足を感じた場合は「ヘム鉄」の方が吸収率が高いので、そちらを摂取した方が効率的と言う訳です。
鉄分は体内に吸収されにくい栄養素です。
吸収率は約15%と言うのは、かなり低いですね。
そして、鉄は60~70%が血液中にあり、タンパク質と結合し赤血球中のヘモグロビンの構成成分となります。
これを「機能鉄」と言い、肺から供給された酸素を全身の細胞に運搬してくれているんです。
残りは、肝臓や骨髄、筋肉等に存在し これを「貯蔵鉄」と言います。
貯蔵鉄は機能鉄が不足した時に利用されています。
成長期に起こりやすい「鉄欠乏症貧血」とは
鉄分不足=貧血と言う公式と女児に多いと言うイメージをお持ちではないですか?
確かに、小学校高学年くらいからの女の子は生理が始まるので、鉄不足に陥りやすくなります。
しかし、貧血はそれだけが原因ではないのです。
急に身長が伸びたり、筋肉も成長するのが成長期です。
からだが成長するとともに血液も増えていきます。
血液量が増えるということは、その血液を作る鉄分も必要になります。
成長期の子どもたちに必要な鉄量は、1日に1mg必要とされている大人の男性の2~3倍は必要であるとされています。
必要量は増加傾向なのに摂取量の不足から「鉄欠乏症貧血」に繋がってしまう訳です。
成長期の過程において体だけ成長するのではなく、豊かな感情や集中力、学習能力を育てる大切な時期です。
貧血は、これら感情等の低下やイライラが起こりやすくなると言われており、子どもの発育や日常生活、正常な精神活動にも多大な影響を及ぼしていまいます。
そこで、男女別に貧血になる原因とお母さんにも出来るチェック方法を調べてみました。
〇女児
生理による失血と偏食や無理なダイエットによる鉄分不足。
〇男児
骨や筋肉が急激に成長し沢山の鉄分やカルシウムが必要なのに不足してしまう。
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チェック項目
・最近、顔色が悪い ・疲れやすい
・動悸がする ・息切れしやすい
・注意力、集中力の低下 ・舌炎や口角炎
・持久力がない ・記憶力の低下
・瞼の裏を見たら白っぽくなっている
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上記が、貧血の原因と見極める為の簡易的なチェック方法です。
この状態が長期化すると、スプーン爪や味覚障害等の症状が出てきます。
成長期の貧血全体の7割は鉄欠乏症貧血と言われていますが、必要な鉄分を摂取する事で直ぐに治ると言う特徴もあります。
単に鉄分が多いレバー等を食べるだけではなくタンパク質やミネラル、カルシウム等の栄養素をバランス良く摂る必要がありますね。
鉄を多く含む食品にちょっとした工夫を
鉄分を多く含む食品と言えば、何を思い浮かべますか?
レバー、ほうれん草が頭に浮かんだと言う方が多いはずです。
では他に鉄分を摂取出来る食品はないのでしょうか。
●肉類:レバー、赤身の肉
●魚介類:カツオ等の赤身の魚肉、アサリ、しじみ、ひじき、海苔
●野菜:小松菜、菜の花などの葉類
●豆類:大豆、インゲン豆、納豆
鉄分が含まれる果物もあるんですよ。
干し葡萄(レーズン)が果物の中では1番多く鉄分を含む果物です。
あと、缶詰のミカンやさくらんぼ、パイナップルにも含まれています。缶詰だと長持ちするので食後のデザート出されてみるのも良いかもしれません。
因みに、レバーが苦手な子どもも多いですが、 調理法を少し工夫するだけで食べやすくなるんです。
オススメは揚げることで、薄切りにし小麦粉をまぶしサッと(1分以内)油で揚げてから調理すると、レバー独特の臭いがほとんど出ませんよ。
前述でもお話した様に、鉄はからだに吸収しにくい栄養素なので、食事や調理の際は注意が必要です。
このままの食品を摂取するよりも他の食品と摂取した方が吸収率が高まると言う訳です。
鉄の過剰摂取は危険!
鉄が不足するのもいけませんが、逆に過剰摂取をするのは危険とも言えます。
まずは、1日の摂取量と上限摂取量を見てみましょう。
鉄の1日の摂取量 上限摂取量
3~5歳:男児 5.0mg・女児 5.0mg、3~5歳:男児 25mg・女児:25mg
6~7歳: 男児 6.5mg・女児 6.0mg、6~7歳: 男児 30mg・女児 30mg
8~9歳: 男児 9.0mg・女児 8.5mg 、8~9歳: 男児 35mg・女児 35mg
10~11歳: 男児 10.0mg・女児 9.0mg(13.0)、 男児 10~11歳・女児 35mg 35mg
12~14歳: 男児 11.5mg・女児 9.0mg(13.5)、 男児 12~14歳・ 女児 50mg 45mg
※( )の数値は生理時の数値を表します。
日常生活における食事からの摂取で、上限を超えてしまう可能性はほぼありません。
そして、これが落とし穴!「鉄は体内に吸収されにくい栄養素です」とお話しました。
摂取しにくい為に、ついついサプリで補給と言う考えになりがちなのです。
「これ位なら大丈夫だろう」と安易に用量以上に長期間摂取し続ける事で過剰摂取になってしまうのです。
鉄の過剰摂取により、一体どの様な症状が起こるか、症例を挙げてみました。
・胃の不調により起こる「吐き気」「嘔吐」、腸の炎症から起こる「下痢」「吐き気」「嘔吐」
いわゆる胃腸障害です。
・続発性ヘモクロマトシース
先天性と後天性とありますが、鉄の過剰摂取によって起こるのは後天性のものになります。
心臓や膵臓、皮膚や下垂体、肝臓や関節など体内の臓器に鉄が溜まり、コントロールが出来なくなると、心筋症や肝硬変、糖尿病等を引き起こす可能性のある病気です。
難病でもあり、発症すると生きている限り治療を続けなければならないと言う事になってしまいます。
過剰摂取による病気を挙げてみましたが、2つ目に関しては稀なケースです。
決められた摂取量を守り食事と併用しつつ摂取する様にしましょう。
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まとめ
今回のお話で、「鉄」に対する認識が少し変わりましたか?
不足もダメ、過剰摂取もダメと摂取するには難しい成分ですが子どもだけではなく お母さん方大人にも必要な成分には変わりありません。
子どもの成長に、そして家族皆さんの健康に最低限の摂取はしたいものですね。